長谷寺(奈良)の本尊である十一面観音をモデルに自然石に仏像を彫りました。製作過程をご紹介します。ご依頼主のご住職は長谷寺に20年近くお勤めされ、ご自身のお寺にも長谷寺の十一面観音を感じるものを置きたいとのお話でした。

長谷寺の十一面観音は一般的なものと区別して「長谷寺式十一面観音」と呼ばれます。右手の錫杖は特徴のうちの1つです。錫杖は地蔵菩薩の持物なので地蔵と観音様の合体という説もあります。
使用したのは岡崎産の白石です。白石とは岡崎で採石されていた石で石目が細かく御影石の中では軟質の石種で、水を吸いやすい為、加工すると石肌が柔らかい感じになります。また苔などがのりやすい石でもあります。お客様のご希望で年代を感じさせる雰囲気のある石を選びました。10mを越える像をモデルに10分の1サイズで製作するため全てを再現することは難しいです。そこで特徴的な錫杖・水瓶・お腹の法輪・頭上仏・光背の梵字とデザインなどポイントを抑えて製作していきます。

観音像を大きく彫刻できるよう、なるべく大きな舟形光背を作りました。
蓮華座に立っている姿が一般的ですが長谷寺のものは盤石座という四角い座の上に立っています。

この玉石は若干風化した部分は細かな彫刻が難しいのですが、ちょうど細かく彫りたい箇所は石質が硬く粘りがあり、この観音像を彫るべく選ばれた石と思えました。石を扱うとき、このようなことが時々起きます。石の神様がいるのかもしれません。

錫杖や蓮の花などは正面からは細く見ますが、横から見ると石が壁のようになっています。背面を貫通させると折れてしまう恐れがあるのでこのように作っています。石によっては貫通できるものもあります。

強度は保ったまま細く見えるように、でも厚みを感じさせないよう彫刻しています。


光背には梵字の彫刻をしました。十一面観音を表す梵字を11個。


今回製作するにあたって難しかった点は十一面観音の全身が写る資料がなかったこと、10mを越える像は本堂の中にあり正面から全身を拝むことが困難です。書籍やネット画像など検索しても見上げた画像や各パーツの写真のみで、全身が正面から写るものはありません、また側面の画像や資料がなく頭頂仏の並びなどを正確に確認することはできませんでした。

枕草子や源氏物語にも登場する「泊(初)瀬詣」という言葉は初瀬にある観音を参拝することを意味しています。長谷寺のある桜井市初瀬(はつせ)は古来「はせ」と呼ばれ初瀬の観音様をお参りする初瀬詣が貴族や庶民など多くの人々の信仰を集めてきました。何日もかけて長谷寺を目指し旅をした人々を救ってきた観音様です。
今回のご依頼ではお顔にお母様の面影を取り入れたいとのことで、いただいた写真を参考に目元の優しい表情にしました。ニコニコと温かいほほ笑みを浮かべた観音様を多くの方にお参りしていただきたいです。(N)

続きは こちらから

長谷寺の十一面観音は一般的なものと区別して「長谷寺式十一面観音」と呼ばれます。右手の錫杖は特徴のうちの1つです。錫杖は地蔵菩薩の持物なので地蔵と観音様の合体という説もあります。

使用したのは岡崎産の白石です。白石とは岡崎で採石されていた石で石目が細かく御影石の中では軟質の石種で、水を吸いやすい為、加工すると石肌が柔らかい感じになります。また苔などがのりやすい石でもあります。お客様のご希望で年代を感じさせる雰囲気のある石を選びました。10mを越える像をモデルに10分の1サイズで製作するため全てを再現することは難しいです。そこで特徴的な錫杖・水瓶・お腹の法輪・頭上仏・光背の梵字とデザインなどポイントを抑えて製作していきます。

観音像を大きく彫刻できるよう、なるべく大きな舟形光背を作りました。
蓮華座に立っている姿が一般的ですが長谷寺のものは盤石座という四角い座の上に立っています。

この玉石は若干風化した部分は細かな彫刻が難しいのですが、ちょうど細かく彫りたい箇所は石質が硬く粘りがあり、この観音像を彫るべく選ばれた石と思えました。石を扱うとき、このようなことが時々起きます。石の神様がいるのかもしれません。

錫杖や蓮の花などは正面からは細く見ますが、横から見ると石が壁のようになっています。背面を貫通させると折れてしまう恐れがあるのでこのように作っています。石によっては貫通できるものもあります。

強度は保ったまま細く見えるように、でも厚みを感じさせないよう彫刻しています。


光背には梵字の彫刻をしました。十一面観音を表す梵字を11個。


今回製作するにあたって難しかった点は十一面観音の全身が写る資料がなかったこと、10mを越える像は本堂の中にあり正面から全身を拝むことが困難です。書籍やネット画像など検索しても見上げた画像や各パーツの写真のみで、全身が正面から写るものはありません、また側面の画像や資料がなく頭頂仏の並びなどを正確に確認することはできませんでした。

枕草子や源氏物語にも登場する「泊(初)瀬詣」という言葉は初瀬にある観音を参拝することを意味しています。長谷寺のある桜井市初瀬(はつせ)は古来「はせ」と呼ばれ初瀬の観音様をお参りする初瀬詣が貴族や庶民など多くの人々の信仰を集めてきました。何日もかけて長谷寺を目指し旅をした人々を救ってきた観音様です。
今回のご依頼ではお顔にお母様の面影を取り入れたいとのことで、いただいた写真を参考に目元の優しい表情にしました。ニコニコと温かいほほ笑みを浮かべた観音様を多くの方にお参りしていただきたいです。(N)

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