岡崎市 老舗石屋㈱杉田石材店のブログ
石灯篭(とうろう)庭園・神社用など石製品の製造販売

【創業190余年の老舗石屋】国内最大級の在庫展示数 石灯篭(とうろう)水鉢など庭用石製品をはじめ、石製品全般取り扱っております。本格こだわりの手作り石灯篭(とうろう)をお探しの方は実際に見比べてください。工場では職人の制作風景もご覧いただけます。~心のかよう石づくり~をめざし見る人の心が豊かになるよう心を込めて造っております。これからも技術を絶え間なく積み重ねてまいります。当ブログでは石彫刻品 記念碑 石像 モニュメント等の製作過程や設置事例をはじめ石屋の日々をお伝えしております。

2023年07月

先日、修復のためにお預かりした狛犬に彫刻されていた文字
狛犬台座文字|愛西市神明社 (1)

左から
「大正拾年〇月」 写真の〇印の一文字が読めません。
1月から12月のどれとも検討がつかないのです。

ちなみに、同じ神社の社標は大正十年三月一日建之 と刻まれています。
神社社標文字|愛西市神明社
おそらく狛犬も同じ三月に建てられているはずなので、
三月や弥生の書き方や、参など別の漢字を調べても、似た文字がなく分かりません。

三月一日を表す季語も見つかりませんでした。

ネットで、ひらがなの旧字体も調べたり変体仮名も調べたりしてもダメ、
やっぱり図書館へ出かけて調べないとダメかあと思いつつも

諦めずに、調べている中で見つけたサイトで
漢字を一文字ずつ入力して調べていきました。

一 壱 二 弐と入力していくと似た文字が見つかりました。

日本古典籍くずし字データセット(人文学オープンデータ共同利用センター)より
「弐」のくずし字が似ている!!
弐のくずし文字
狛犬台座文字|愛西市神明社 (2)
これは弐月で間違いなさそうです、
こんな便利なデータ集があるとは知りませんでした。感謝

調べている中で、書道家の先生にも写真を見てもらうと
「二月かしら、弐月、あるいは『武月』かもしれない」と教えてくださいました。
大正10年なら、日露戦争や第一世界大戦の影響が残り
『弐』ではなく、強く勇ましいという意味の『武』をあえて使っているかも。

武という発想には驚きました。

文字を形としてだけではなく、何かを伝えり表現するものとしても想像して
考えているのは書家ならではなのか、先生の経験や豊かさでしょうか。勉強になります。

『武月』(N)









 

狛犬の修理(顔)をしました。
仕上げと完成の紹介をします。

【修理前】顔がありません
神社の狛犬修復|修理前
【修理後】新しい石を付け足して顔を作りました
作業の様子はこちらから → 狛犬の修理(加工)
神社の狛犬修復|修理後
白い石の部分が新しく石を付け足した箇所
神社の狛犬修復|石の修理
神社の狛犬修復|石の修理
牙も作りました 舌の黒い箇所は黒雲母
神社の狛犬修復|石の修理
狛犬は二体を1対として設置されます。並んでも違和感のないよう似せて作ります。
【補修した顔】
神社の狛犬修復|修理後
【補修していない顔】
神社の狛犬修復|石の修理

狛犬があった神社へ設置しました。
愛西市(神明社)にて、
神社の狛犬修復|石の修理
新設された台石の上に修復した狛犬を乗せました
既存の石に合わせて補修部分を着色して、自然な色合いに仕上げました。
神社の狛犬修復|石の修理

こちらは神社の総代様からのご相談で、
狛犬に破損があり、作り変えをご検討とのことでしたが、補修可能な状態だったため補修し再設置することになりました。また拝殿の建て替えにともない、境内の石製品の新設や配置換えもお手伝いさせていただきました。(N)

狛犬の修理 加工編


狛犬の修理 修理の前に


狐の修理

石が欠損した狛犬の顔を修理しました。
【修理前】眉間・鼻・上唇がありません
神社の狛犬修復|石の修理
【修理後】
神社の狛犬修復|石の修理
~補修を行う前に~
狛犬は、二体で一対として配置されますので、
一体のみの破損でも二体お預かりして修復します。
補修後、並べて配置しても違和感のないように似せて作るためです。
神社の狛犬修復|石の修理
破損部に石を付け足す方法で修復をします。
まず破損している面を平ノミで彫ります。
神社の狛犬修復|石の修理
なぜこのような形にしたかというと
・平らな面同士でくっつけるようりも、複雑に入り組んでいる方が強度がある
・石の場合、付け足した石が薄いと加工時に割れやすく欠けやすい。

断面の形を、付け足す石に写し取ります。
今回の狛犬は地元で採れる夏山石製だったので、同じ石が用意できました。
神社の狛犬修復|石の修理
顔のはめ込みに合わせて、付け足す石を加工します。
神社の狛犬修復|石の修理
接合部にステンレスピンを入れ、額には接着剤が石に食い込むように切り込みを入れます。
神社の狛犬修復|石の修理
本体とぴったり合わさるように付け足す石の接合面を削って、本体に沿うようにします。
神社の狛犬修復|石の修理
どの面も隙間なくピタッと形が合っています。
神社の狛犬修復|石の修理
上から見たところもピッタリ
神社の狛犬修復|石の修理
石材用の接着剤をつけて固定します。
神社の狛犬修復|石の修理
もう一体の狛犬を参考にしながら、接着した石を削って顔を作ります。
神社の狛犬修復|石の修理
目は破損せずに残っていたのですが、周りの顔を作っていくと目に力が籠ったように見えてきます。
神社の狛犬修復|石の修理
完成編へ続きます。(N)


狛犬の修理 完成編


狛犬の修理 修理の前に


狐の修理



修理のために、神社から狛犬がやってきました。
灯籠や彫刻品を初めて見るときは、どんなものかとワクワクします。
狛犬の修理|愛西市神明社
狛犬の修理|愛西市神明社
右の口を開けた狛犬は、顔が破損しています
眉間から鼻、上くちびるがありません。
狛犬の修理|愛西市神明社
左の狛犬の顔を参考にして復元していきます。
狛犬の修理|愛西市神明社
座に彫刻した文字は左から「大正拾年〇月」
〇月の文字が読み取れません。。。どなたか分かる方、教えてください!
大正十年に作られた狛犬
狛犬の修理|愛西市神明社
後ろ足には修理した跡がありました
狛犬の修理|愛西市神明社
壊れた狛犬を新しく作り変えた方が石屋としては商売になります。
ただ、作った人や寄進した人、狛犬の気持ちを思うと修復できるものは残してあげたい。

そんなことを思いながら大正時代の狛犬を眺めていると
谷川俊太郎の「うつくしい!」の一文がしっくりきました。

うつくしいものには、生き続けてゆく力がある
うつくしいものは、遠くはなれた人間の、心を結びつける。

各時代に関わった人たちの思いが繋がって、
現在の姿があり、次の時代に繋がっていくのかもしれません。
狛犬の修理|愛西市神明社
狛犬を見たとき、大きくてかわいいと感じました
愛らしく、もったりふわふわしていて、人を惹きつける魅力ある狛犬なのだと思います。

これから狛犬修理の様子をご紹介していきます。(N)

狛犬の修理 加工編



狛犬の修理 完成編




狐の修理

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