岡崎市 老舗石屋㈱杉田石材店のブログ
石灯篭(とうろう)庭園・神社用など石製品の製造販売

【創業190余年の老舗石屋】国内最大級の在庫展示数 石灯篭(とうろう)水鉢など庭用石製品をはじめ、石製品全般取り扱っております。本格こだわりの手作り石灯篭(とうろう)をお探しの方は実際に見比べてください。工場では職人の制作風景もご覧いただけます。~心のかよう石づくり~をめざし見る人の心が豊かになるよう心を込めて造っております。これからも技術を絶え間なく積み重ねてまいります。当ブログでは石彫刻品 記念碑 石像 モニュメント等の製作過程や設置事例をはじめ石屋の日々をお伝えしております。

2025年05月

根津神社(東京都文京区)の狐たちを16体修復させていただきました。

狐像の補修に使用した道具をご紹介します。
・チッパー(緑のホース)
・チッパーノミ
・ハンドグラインダー
・軸付きダイヤモンド刃
石道具ノミ(櫛刃ノミ) |補修道具
お預かりしている狐の多くは、毛並みが細かく彫刻されています。
この毛並みは一本ずつ彫っておらず、上から下へ同じラインが一気に彫ってあります。
狐の補修毛並みの再現
毛並みの模様は、一定の間隔かつ、ある程度の距離が繋がっています。
狐の補修毛並みの再現
等間隔で毛並みが彫られているので、これは道具の幅と考えられます。
刃先が櫛のようになった道具で彫られていたと推測されます。

この毛並みを再現できる道具を鍛冶屋さんに作ってもらいました。
特注のノミ(櫛刃ノミ)
先端がフォークのようになっています。
石道具ノミ(櫛刃ノミ) (2)
既存の毛並みと間隔が揃うように道具を作っています。
1㎝幅の台金に6枚と5枚の二種類
6枚になると先端が細くなり折れやすいため、6枚のノミは2本作ってもらいました。
石道具ノミ(櫛刃ノミ) (3)
鍛冶屋さんも初めて作る道具だったので
「試作の試作」と言いながら届けてもらったり、
石を加工する職人が手を加えたノミもあります。

白い部分は、石を付け足しています。上のノミで毛並みを彫りました。
狐の補修毛並みの再現
既存の毛並みと新しく作った毛並みが合わさる部分は
1本ずつ毛並みを繋げています。(N)
狐の補修毛並みの再現

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根津神社(東京都文京区)の狐たちを16体修復させていただきました。

狐像の補強金具を使った補修方法をご紹介します。
【補修前】駒込稲荷の狐08
前足と台座がなく、他の狐に重なって座っていました。
神社狐の修理|駒込稲荷

狐の像修復補修|根津神社|狐08駒込稲荷
両耳と鼻先がありません。
目のあたりも石が風化しており表情が分かりづらくなっています。
狐の像修復補修|根津神社|狐08駒込稲荷
耳と鼻は石を付け足して復元します。
接着剤を染み込ませた後に穴をあけてピンを差します。
切り込みを入れてボンドの食いつきをよくします。
長期間の重力や外からの力が掛かる箇所には、ステンレス金具を入れて補強します。
神社狐の修理|駒込稲荷
同様に鼻にもピンを入れます。
(ちょっと痛いそうでゴメンナサイ)
神社狐の修理|駒込稲荷
ボンドを付けて石を付け足します。
狐の像修復補修|根津神社|狐08駒込稲荷
折れている尻尾
狐の像修復補修|根津神社|狐08駒込稲荷
接合部にピンを入れて補強します。
狐の像修復補修|根津神社|狐08駒込稲荷
接合面の石をえぐって、内部でボンドが団子状になるようにします。
ピンにもボンドを付けます。
狐の像修復補修|根津神社|狐08駒込稲荷
ボンドが固まるまで紐で固定します。
尻尾は安定がよいため、紐の固定は不要です。
狐の像修復補修|根津神社|狐08駒込稲荷
【水板(本体と一体になっている四角い台座)の補修方法】
この狐は、水板が右後方部分しか残っていませんでした。
神社狐の修理|駒込稲荷
石を付け足して
水板と前足と玉も一緒に作ります。
神社狐の修理|駒込稲荷
後ろ側
神社狐の修理|駒込稲荷
接合する面に金具用のスリットを入れ、合わせ面には格子状に切り込みを入れます。
神社狐の修理|駒込稲荷
スリットに木の葉型の金具を2か所に入れます。
神社狐の修理|駒込稲荷
付け足す石にボンドをしっかりと入れます。
神社狐の修理|駒込稲荷
本体と接着します。
神社狐の修理|駒込稲荷
後ろ側の水板を付け足します。
神社狐の修理|駒込稲荷
左足を作ります。
神社狐の修理|駒込稲荷
くり抜いた部分にボンドをしっかり入れて
足を付け足します。
神社狐の修理|駒込稲荷
前足や水板を作り直して、座れるようになった狐
神社狐の修理|駒込稲荷
白い部分が付け足した石です。
神社狐の修理|駒込稲荷
新たに作った耳
神社狐の修理|駒込稲荷
鼻先も石を付け足して彫刻しています。
神社狐の修理|駒込稲荷
最終的には着色とコーティングをして、補修部分を目立たなくさせます。
補修を分かり易くするために、着色前の姿を紹介しています。(N)

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根津神社(東京都文京区)の狐たちを16体修復させていただきました。

狐像02の修復工程を紹介しています。

【補修前】乙女稲荷の狐02
風化によって子狐の姿がなくなっていました。
尻尾と小さな手(前足)が残っています。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
復元前の資料がなく、原形のデザインは分かりません。
残っている前足の位置から推測して作っていきます。

尻尾とお尻の隙間はノミがしっかりと入っていて溝ができています。
子どもの左側に残った壁が何だったのか想像が及びません。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
特に子狐は自由度が高く、親にじゃれていたり、動きがある場合もあります。

油土(粘土)で作ってみます。
今回は、右後ろ足で親の尻尾を踏んでいることにしました。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
粘土で作った親の前足と子どもを石に置き換えて作ります。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
粘土の原型を見ながら付け足す石を加工します。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
大まかな形を作って取り付けます。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
付け足した石を削って完成
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
親の顔を参考にしています。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
子どもは前足を上げて、後ろ足は親の尻尾に乗せました。
耳は親の前足に当って少し折れています。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
表情はニコニコしてかわいらしくしました。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
修復が完了した乙女稲荷の狐たちを見たお客様に
「家族みたいですね」と教えてもらうと、狐の団らんにしか見えなくなりました。
「直してもらったんだね」
「みんな直してもらって嬉しいね」と話しているようで、
子どもが見上げている姿がかわいらしいです。
狐の像修復補修|根津神社|狐01・02乙女稲荷
神社にいる間は、向かい合うことがない狐たち
神社へ戻る前に家族の時間を過ごしてもらいます。(N)


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根津神社(東京都文京区)の狐たちを16体修復させていただきました。

狐像の修復工程を紹介しています。
狐像の復元修理|根津神社|狐02乙女稲荷
足の復元方法を紹介する前に、破損欠損の要因についてお話します。
前足の破損は、今回修復する16体のうち10体にみられました。
狐の像修復補修|根津神社|狐08駒込稲荷
前足を立てて座っている狐のデザインの場合
全般として、お腹の下や前足の下などは風化が早く感じました。

前足やお腹の下側は、石の表面が剥がれてしまったり、細い腕などは折れやすい傾向にあります。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
お腹の下側は、雨が直接当たらない部分です。
では、なぜ雨が直接当たる表面よりも風化が早く進むのか?

要因①
おそらく、石が吸収した水分の乾きが一番遅いのがお腹の下側など影になっている部分で、石に水分を含んだ状態が長く続きます。

要因②
前足や水板(狐と一体になっている台座)を作るときや、ノミで石をくり抜く時に石にクラックが入りやすく、石の中にクラックが残りやすいです。完成した時点で他の部分に比べ石に衝撃が加えられた状態です。

これらの要因を和らげる効果がありそうなデザインは、
前足を身体に沿わせて、体と前足の間を貫通させないことです。
狐の像修復補修|根津神社|狐駒込稲荷

乙女稲荷の狐02
風化によって失われた前足と子どもを復元します。
本体側の接合面には切り込みを入れて接着剤を染み込ませます。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
足先側も同様に接着剤を入れて切り込みを入れます。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
付け足す前足用の石
接合面は凹凸のある断面の形に合わせて加工します。(状況によってはこの限りではありません)
石が合わさる面同士は、平らにした方が加工は楽ですが、つなぎめが直線になり修復跡が目立ちます。
「つなぎ目を平らにしない理由」
・つなぎ目を目立たなくさせる
・複雑な形にして強度を上げる
・なるべく既存の石を残したい
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
接合面は
断面の形に合わせて、石を少し削っては当ててを繰り返し凹凸を合わせます。
前足の付け根にボンドを入れます。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
指先側にもボンドを入れます。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
付け足す石の断面には、ボンドの食いつきを良くするために切り込みを入れます。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
ボンドを入れます。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
反対側も同様にして本体に取り付けます。
このような箇所は折れる心配がないため、
補強金具をいれていません。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
石を削って前足の復元が完了します。
【修復前】
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
【修復後】
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
欠損部分には、このように石を付け足して復元しています。(N)

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根津神社(東京都文京区)の狐たちを16体修復させていただきました。

狐像02の修復工程を紹介します。

【補修前】乙女稲荷の狐02
風化によって頬から胸、前足がなく、
足元の子どもは尻尾と前足の一部が残るのみ
狐像の補修|乙女稲荷狐
【補修後】子どもも復元しました。
狐像の補修|乙女稲荷狐
記録のために補修前に写真を撮りながら本来の姿を想像します。
破損は大きいですが、身体のラインも綺麗な狐
狐像修復|狐02乙女稲荷
すっきりと綺麗な顔立ちです。
狐像修復|狐02乙女稲荷
お腹のあたりは風化し残った石の表面もポロポロしています。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
いよいよ修復補修をしていきます!

補修方法1 石の粉を盛る
風化によって石が削れている頬狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
まず、ポロポロした表面の石を本来の石肌が出てくるまで石を削ります。
削った粉は補修時に再利用します。
接着剤の食いつきを良くするために切り込みを入れて、接着剤を浸透させます。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
接着剤と石の粉を重ねて層を作りながら盛っていきます。
使用する接着剤は、サラサラすぎず、ネバネバすぎず
乾きが早すぎず、遅すぎず、ほどよいものを染み込ませます。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
石の粉を接着剤に沈ませます。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
更に接着剤を重ね、粉を盛る。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
このように石粉を重ねて凹んだ表面を盛り上げます。
この作業を何度も繰り返し復元していきます。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
茶色い部分は既存の石、補修部分は青みがかったグレーになっています。
同様の方法で修復補修した尻尾
【補修前】石の表面が剥がれてしまっています。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
【補修後】石の粉を盛って、毛並みも再現しました。
狐の像修復補修|根津神社|狐02乙女稲荷
このようにお腹のあたりも修復補修していきます。
次は欠損している前足と子どもの制作についてご紹介します。(N)

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