日本に現存する最古の石灯篭は当麻寺(奈良時代)、続いて柚ノ木(平安時代)、平等院(平安時代)の灯篭といわれています。※平等院は基礎のみが平安時代のものです。2021.9.25追記
柚ノ木も平等院も灯篭としては似たデザインがなく、それぞれ独創的なデザインと言えます。
(画像は弊社製作品)
鎌倉期よりも前の時代では現存するものが少なく推測の域ですが、2基を見る限り、ほかにも創意のある石燈籠が数多く作られていたのではないでしょうか。一つ一つ手で作り、神仏に供えるとなれば唯一無二のものを作り上げたのではないかと考えてしまいます。
平等院の灯篭のデザインを詳しく紹介します。火袋のデザインについては前回の記事へ
2枚の石を立てた特徴的な火袋の為、本来見えるはずのない笠の底面がほぼ見えています。
【一般的な石燈籠の笠と火袋】笠の底面は火袋に隠れて見えません。
平等院型は受の天面も見えます。
【一般的な灯篭】受の上に火袋が重なり受の天面中央は見えなくなります。
平等院のように火袋の窓がここまで広い灯籠は他にありません。開口から本尊の礼拝する為のデザインといわれ大きな火口は額縁のような役割をしています。
受全体が見えるデザインなので、他の灯篭とは違い上面には段差や飾がなく曲線の美しいものになっています。
天面のラインは途切れることなく広がり、平等院の建築や池の水面にも通じるものがあり、横に広がる穏やかな安定感があります。現代でも通じるようなシンプルでモダンなデザインです。
また火袋側面の彫刻はシンプルで斜線の線彫りが面白いです。
受の曲線の他にも地輪の曲線も気持ちがよいです。そして地輪いっぱいに花びらを彫刻せず、大胆な余白の取り方が絶妙です。
【その他の灯籠の地輪】柱の周辺から縁取りまで花びらを作ることが一般的です。

【平等院の地輪】柱から蓮弁の始まりまでにゆるやかな曲線で余白が広くとってあります。
火袋を二枚の板にするという斬新なアイディアは小心者にはできないです。これを作って怒られやしないかなど心配無用な人なのだから、デザインする人は権力のある人だったのでしょうか。受け入れる側も革新的で寛大なセンスのある人だったと思われます。案外石燈籠作りは権威のある仕事だったのかもしれないと想像してみるのも楽しいです。平等院の灯篭は笠も変わっているので、またご紹介します。(N)
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