岡崎市 老舗石屋㈱杉田石材店のブログ
石灯篭(とうろう)庭園・神社用など石製品の製造販売

【創業190余年の老舗石屋】国内最大級の在庫展示数 石灯篭(とうろう)水鉢など庭用石製品をはじめ、石製品全般取り扱っております。本格こだわりの手作り石灯篭(とうろう)をお探しの方は実際に見比べてください。工場では職人の制作風景もご覧いただけます。~心のかよう石づくり~をめざし見る人の心が豊かになるよう心を込めて造っております。これからも技術を絶え間なく積み重ねてまいります。当ブログでは石彫刻品 記念碑 石像 モニュメント等の製作過程や設置事例をはじめ石屋の日々をお伝えしております。

カテゴリ: 庭づくりお役立ち情報

灯篭の修理や引取の相談で、時々見受けられるコンクリート(セメント)で作られた灯篭。最近は作られることは少ないようですが、安価で量産できた為、現在でもお庭で見かけることがあります。

灯篭の写真を拝見して
「これは石でしょうか?」とお尋ねすると
「え?」と驚かれます。
「今まで石だと思い込んでいたので石だと思う。。。でも、、、
分かりません。石じゃないですかね?」というお返事が多くあります。

私たち石屋が実物を見なくとも、
たとえ石の表面が写真で判断できなくとも
パッと見て、石ではなさそうと感じることがあります。

識別するポイントや基準で判断している訳ではありません。
なんとなく違和感があり、石ではない素材を感じます。
石屋がパッと見で感じるコンクリート製の灯篭の違和感
◎質感  ◎表面の具合 ◎色  ◎全体の形
◎作り  ◎汚れ方   ◎風化の仕方
灯篭の状態や形によっても該当しないものもありますが、
総合して違和感を感じます。
しかし、一般の方がこれらを感じることは難しいですね。

石とコンクリートの見分け方を調べると、
塩酸をかけて溶けたらコンクリートとのこと。
溶けては困るので、灯篭では試すことができない場面もあります。

そこで、今回は見た目で判断する参考に
石燈籠とコンクリート製の灯篭の違いをご紹介します。
コンクリート製の灯篭の表面(写真をクリックして拡大表示してご覧ください)↓
コンクリート製灯篭の表面 (1)
セメントの中に独立した均一な砂の粒が、押し固められたような感じ
乳白色の粒の輪郭がしっかり分かれています。
粒の面が型に沿って並ぶ為、粒の凹凸が揃っています。↓
コンクリート製灯篭の表面 (2)
石製の灯篭の表面 (写真をクリックして拡大表示してご覧ください)↓
【岡崎産 白みかげ石】
年数が経過したもの ノミで叩いた凹凸は粒単位の凹凸とは異なります。
石製の灯篭の表面(御影石:白石) (2)
【岐阜県産 みかげ石 蛭川石】↓
石製の灯篭の表面(御影石:蛭川石
【岡崎産 みかげ石 夏山石】
黒色雲母の形や大きさは似ていますが、均一ではありません。↓
石製灯篭の表面(御影石:夏山石)
改めて石の表面を見ると、白・黒の雲母や長石・石英などが
混ざってはいるけれど全体に一体感があります。
鉱物同士の繋ぎ目に『へばりつく』感じがあります。

コンクリート製の灯篭は、御影石の風合いに似せて作られていますので、
表面をしっかりと見ると分かりやすいです。

石の種類や風化具合によっては、ポロポロとしている表面になることもあり、
ご紹介した違いでは見分けられない場合もあります。

確かに、コンクリートは御影石に比べると風化は早いですが、
鑑賞する時に問題になることありません。

石屋としては、石製の灯篭の魅力も味わってほしいですが、
石だと思っていたほうが気持ちが良い場合もあるので、
ご家庭の灯篭をじっくり見比べなくても良いとは思います。
石かコンクリートかを見分ける必要がある時には、ご参考になさってください。(N)


SDGs目標への取り組みに私たち石屋ができるの一つに石製品の修理やリフォームがあります。「つくる責任つかう責任」の中で、修理をして長く使用するリユースや廃棄物を再利用して新しい製品にすることがあります。

廃棄物の再利用はSDGsの目標が掲げられるずっと前から行われています。既に桃山時代の茶人は仏教遺物を再利用し、姿を変え茶庭に好んで取り入れていました。例えば四方仏水鉢は塔身の再利用として作られたと言われています。(弊社で販売している製品は再利用品ではなく、新たに製作しています)
四方仏水鉢
笠が重なった層塔や宝篋印塔の塔身に水穴をあけて水鉢に転用されたのが始まりの四方仏水鉢。現在一般的に販売されるものは再利用品ではありません。茶人は四方仏(しほうぶつ)を「し」を使わず「よほうぶつ」と呼んでいます。
十三重層塔(塔身)
他にも、異なる石造品のパーツを組み合わせて作られた「寄せ灯篭」として有名な孤篷庵(こほうあん)灯籠も石の再利用です。
孤篷庵(こほうあん)
玉・・・五輪塔の空輪、風輪 
笠・・・五輪塔の水輪を半分にして天地返したもの
五輪塔から転用孤篷庵
火袋・・・小さな宝篋印塔の基礎 側面に穴をあけたもの
受・・・小さな層塔の笠を天地返したもの
柱・・・宝塔の塔身
原型となる本歌は小堀遠州の作といわれる京都市大徳寺の孤篷庵忘筌にあります。寄せ集めたもので、美しい灯篭を生み出せるかは柔軟な発想とセンスが問われる上級者のテクニックです。本歌は鎌倉時代や南北朝時代の材料を使っていますが寄せ灯篭にしたのは江戸時代と言われています。
五輪塔の水輪を転用した水鉢もあります(写真のものは転用ではありません)水を表す水輪が、水を入れる水鉢になるというだけで面白いです。 
つぼみ鉢
石燈籠や石塔、建築物として作られた石が本来とは異なる使い方をしていることはたくさんあります。
茶人は廃品から美を見つけ庭に転用すること自体を楽しみ、新たな美に挑戦していました。
灯篭をはじめ石製品は、安全面や費用を考慮すると修理よりも撤去処分して作り替えをご希望されることもあります。しかし、石に係わった人たちの思いを考えると、出来る限り再利用の道を選びたいです。今ある石を活かして石・人・環境が喜ぶ道を探していきたいです。(N)


雪見灯籠に限らず、正面を向いていない灯籠を時々見かけます。
ご事情があり、向きを変えて設置されていることも考えられますが
雪見灯籠の正しい向きをご紹介します。

4本足の雪見灯篭は、正面から見て2本の足が見えるように配置します。
続いて乗せる六角形のパーツ(笠・火袋・受)は
どの向きが正しい向きでしょうか?

下の写真は、正しい向きに設置された雪見灯籠を二方向から撮影したものです。
正面はどっちでしょうか?
≪六角形の一辺が正面≫             ≪六角形の角が正面≫
灯篭の正面向き 側面と比較
↑正解〇                          側面から見た姿↑

六角形の笠・火袋・受は正面から見た時と側面で見た時の横幅が変わります。
側面から見ると全体に縦長のシルエットになります。
雪見灯籠六角形向き
雪見燈籠の向きとサイズ
正しい向きで笠を正面から見ると、六角形の対角線の長さが笠幅になります。
側面からは対辺の長さの笠幅になり正面と比べると笠幅が狭くなります。
火袋・受も六角形なので同様のことが言えます。

下の写真のように、
灯籠を斜めから撮影した写真等を参考に、設置してしまうと
正面向きの間違いを起こしやすくなります。
雪見灯篭の向き
六角形の笠の場合は辺が正面になります。
角が左右の真横になるように配置してください。
ときどき、角が正面中央に配置されている姿を見かけますのでご注意ください。

次に、火袋の向きの見分け方をご紹介します。
火袋に木製の格子が入っている場合には戸がある面が後ろ面で、
戸の金具は、持ち手の引っ掛け部分を上側から被せて留める向きに設置してください。
火袋の上下も間違えやすいのでご注意ください。
雪見灯籠の火袋向き
窓に石格子の彫刻がある場合には一面だけ、くり抜き窓があります。
一面だけ丸や四角の窓になっている面を、後ろ面にします。

灯りの出し入れ作業ができるようになっています。
火袋の窓
下の灯篭は後ろ面の一面だけ花頭窓になっています。

六面とも同じ作りの火袋は、笠との接合面に印がしてあることもあります。
弊社では正面が分かるよう印をしてお渡ししております。
六面とも作りに違いがない場合には、安定がよければどの面でも問題ありません。
※上下向きは正しく設置してください。
詳しい見分け方を紹介した記事→(正しい雪見灯篭の向き 火袋の上下
雪見灯籠の向き(火袋)
たとえ正面の向きが違っていたとしても見た目の問題なので、
必ず直さないといけない訳ではありません。

パーツの順番や部材の上下が間違っていると不安定になりますが、
向きは間違っていても危険はありません。
正しい向きを知った上で、お庭や見る方向、照明具の出し入れのしやすさなど
お好みの向きで楽しんでいただければよいです。

※直した方がよい雪見灯篭の建て方※
1 火袋の上下が逆
特に雪見燈籠は間違いが多く、強度や見た目、使い勝手が変わります。
正しい雪見灯篭の火袋向き

2 受の上下が逆
側面に彫刻がないもの、上下対称の模様のものは特に間違いが起きやすいです
不安定になる可能性が高く、見た目も本来の姿と異なります。

3 パーツの順番が違う
火袋の上に受があるものをお庭で見たことがあります。
正しくは上から玉・笠・火袋・受・足の順です。
不安定な点や火袋にかかる重量が増えるので、長い目でみると火袋の破損に繋がる恐れがあります。

これらは正しく直した方が良いです。
ただし、石は見た目よりも重たいので、動かす際には無理をせず作業してください。
間違った扱い方をすると破損やケガに繋がる可能性があります。
重たいものは業者様等へご相談ください。

間違った向きのまま販売されている灯篭をインターネットでも時々見かけます。
向きを敢えて変える場合には、正しい向きと配置を想定して作られていることを理解した上で、安全にアレンジを楽しんでください。
不安定な建て方は、少しずつ傾きが大きくなり倒壊の危険があります。
本来の上に乗る重量以上の石を乗せることはお勧めできません。(N)

雪見燈籠の受の向きが上下間違っているものを時々見かけます。
そこで、この記事では見分ける方法をご紹介します。
【見分け方1】
側面の彫刻で見分ける
古代雪見は格狭間が彫ってあることが多いです。
石灯篭の向き古代雪見受け (2)
角雪見や丸雪見は『波・しぶき』の彫刻が一般的なので
波の形としぶきの具合で上下を見分けます。
うさぎや獅子が彫刻された豪華なものもあります。
灯篭の向き(角雪見受)
灯篭の向き(角雪見受)1
側面に彫刻がない場合や、上下対称の図柄が彫ってあるものもあります。
そんな時は次のような見分け方があります。
【見分け方2】
段が作ってある面が上面です。
火袋の底面と同じ形の段が作られています。段がない場合には平らな面が上です。
灯籠向き(雪見の受)
段がある面が上です。
2段または1段のことが多いです。古代雪見は一段です。
石灯篭の向き古代雪見受四角 - コピー
薄い段の場合もあります。
灯篭の向き古代雪見受
【見分け方3】
下側は反りがあります。段差がなく、すぼまっている面が下側です。
石灯篭向き(雪見受)曲線
勧修寺の受は上面は段がなく平らで、下側が曲線ですぼまっています。
石灯篭の向き勧修寺受
【見分け方4】
側面の形に尖った角がある場合は、先端が下向きになります。
雪見の向き八角雪見(受)
丸雪見の場合 上面の段は控えめです。石燈籠の向き(丸雪見受)2
下側には段差がなく曲線です。
石燈籠の向き(丸雪見受)1
一般的な雪見灯篭を想定して説明しましたが、上の見分け方を総合しても
受の上下の判断が付かない雪見灯篭もあります。
例えば、泉涌寺型の雪見灯篭は上の見分け方に全て当てはまりません。
受の側面の彫刻もなく、上面も下面も平らです。
石燈籠の向き泉涌寺(受)
石燈籠の向き泉涌寺(受)2
見た目には上下とも同じ作りです。
見分ける方法としては、大入れ(浅いはめ込み)の形を参考にします。
泉涌寺の場合、八角の火袋が収まるように八角形の溝がある面が上面です。
灯篭の向き(受の上下)
下面は足の四角が収まるように四角の溝が作られます。
灯篭の向き(受の上下)四角
しかし、はめ込みがない場合もあり、上下とも同じ作りの可能性もあります。他にも分かりづらい灯籠があるかもしれません。火袋や足との接合部のサイズを比べて正しい向きを確認してください。

私たちがお客様にお渡しする際には、設置時に迷わないように上下が分かるよう印を付けてお渡ししております。
向きを間違えると不安定になり衝撃に弱くなります。正しい向きで設置することをお勧めいたします。
しかし、『寄せ灯篭』といって本来の使い方と異なる組みあわせをしている灯篭もあります。背の低い小さな灯籠であれば向きや順番、他の灯篭のパーツと組み替えてアレンジして楽しむのも面白いと思います。
寄せ灯篭として有名な孤篷庵は全てのパーツをそれぞれ異なる石塔などから寄せ合わせています。例えば本歌の(灯籠の原型となるもの)受は塔の笠を逆さまにして利用されています。
寄灯篭
本来とは異なる向き等で建てる場合には、重量バランスや安定を考慮して楽しんでください。元々の正しい組み合わせの順番で向きを揃えて建てることを想定して灯籠がデザインされ作られていることを忘れずに。お庭の灯篭などで向きがご心配な場合にはお問い合わせください。(N)

【雪見燈籠の火袋の上下】について

【禅導寺の受が上下間違っている事例】


日本に現存する最古の石灯篭は当麻寺(奈良時代)、続いて柚ノ木(平安時代)、平等院(平安時代)の灯篭といわれています。※平等院は基礎のみが平安時代のものです。2021.9.25追記
柚ノ木も平等院も灯篭としては似たデザインがなく、それぞれ独創的なデザインと言えます。
石燈籠の形デザイン
(画像は弊社製作品)
鎌倉期よりも前の時代では現存するものが少なく推測の域ですが、2基を見る限り、ほかにも創意のある石燈籠が数多く作られていたのではないでしょうか。一つ一つ手で作り、神仏に供えるとなれば唯一無二のものを作り上げたのではないかと考えてしまいます。

平等院の灯篭のデザインを詳しく紹介します。火袋のデザインについては前回の記事
平等院型石燈籠
2枚の石を立てた特徴的な火袋の為、本来見えるはずのない笠の底面がほぼ見えています。
平等院(笠)
【一般的な石燈籠の笠と火袋】笠の底面は火袋に隠れて見えません。
笠と火袋(太秦)
平等院型は受の天面も見えます。
平等院灯篭(受)
【一般的な灯篭】受の上に火袋が重なり受の天面中央は見えなくなります。
火袋と受(太秦)
平等院のように火袋の窓がここまで広い灯籠は他にありません。開口から本尊の礼拝する為のデザインといわれ大きな火口は額縁のような役割をしています。
平等院石燈籠(火袋)
受全体が見えるデザインなので、他の灯篭とは違い上面には段差や飾がなく曲線の美しいものになっています。
平等院(受)
天面のラインは途切れることなく広がり、平等院の建築や池の水面にも通じるものがあり、横に広がる穏やかな安定感があります。現代でも通じるようなシンプルでモダンなデザインです。
平等院石燈籠(受)
また火袋側面の彫刻はシンプルで斜線の線彫りが面白いです。
平等院火袋の彫刻
受の曲線の他にも地輪の曲線も気持ちがよいです。そして地輪いっぱいに花びらを彫刻せず、大胆な余白の取り方が絶妙です。
平等院型石燈籠|地輪
【その他の灯籠の地輪】柱の周辺から縁取りまで花びらを作ることが一般的です。
石燈籠の地輪
石燈籠の地輪
【平等院の地輪】柱から蓮弁の始まりまでにゆるやかな曲線で余白が広くとってあります。
地輪(平等院)
火袋を二枚の板にするという斬新なアイディアは小心者にはできないです。これを作って怒られやしないかなど心配無用な人なのだから、デザインする人は権力のある人だったのでしょうか。受け入れる側も革新的で寛大なセンスのある人だったと思われます。案外石燈籠作りは権威のある仕事だったのかもしれないと想像してみるのも楽しいです。平等院の灯篭は笠も変わっているので、またご紹介します。(N)






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