水鉢をお探しのお客様が、ご来店されました。
「何かいいものはないか」と展示場を歩きながら
在庫の石をあれこれ思い浮かべます。
いろいろな製品や石をご案内していくうちに、
工場にあった石に水穴をあけて、水鉢を作ることになりました。
水穴を縁起物でもある『ひょうたん』の形にします。

実はこの石、蛙が彫ってあります。(未完成の状態)
蛙も縁起物です。

つぶつぶの石の模様が「いぼ蛙」っぽくて
蛙を彫りかけたものの、
何にしようかなと工場に置いたままだった石です。

はっきりと彫っていない蛙も
「これくらいが良い」と気に入っていただきました。
この蛙も、このままで彫り進めません。
この石に、水穴をあけて水鉢にします。
選んだ石を見れば、石好きの人だと分かります。
もちろんお話していくうちにも、段々と伝わってくるのです。

コア抜きの機械で、水穴の深さを決めます。
ひょうたんの下側(大きな丸)は深めに、上側は浅めに彫ります。

堆積していた石の粉が落ちたら
蛙のイボイボが面白く出てきました。
気持ち悪いと言ってしまえば、まぁそうかも。
(でも石屋的には面白いのです。)

この石について、調べてみました。
ハイアロクラスタイト(水中火山岩?)かなー
北海道忍路(おしょろ)半島の露頭と似ています。角礫岩?
もう少し調べて、書き足します。
水穴をノミで彫ります。

この石を選んでくれた美意識に見合うように、
『ひょうたんを彫りました!』と、なりすぎないように。

完成

曇り空で撮影すると、丸い形が
水穴なのか、石の模様なのか分かりません。
そこも、おもしろいなーと思ってしまいす。
一般的にはダメなのかもしれませんが、
今回の場合(石好き的には)めっちゃいい。なのです。

さてさてお楽しみ、水穴に水を注いでみます。

水を入れると、ひょうたんの形が浮かび上がります。
水はツルの部分から、側面に流れるようにしました。

蛙が水浴びできるようになっています。
一目見ただけでは、
そんな仕掛けに気が付かない水鉢

上から見ると、ひょうたんのシルエットは、
礫(れき)=石の塊の粒を削らずに
角ばった礫の形に合わせてガタガタさせています。

こうすることで、全体の石に馴染んでくれます。
ひょうたんの形をはっきりさせないポイントです。

側面に潜んでいる蛙を
見つけた時の楽しみがあります。

万人には求められないかもしれないけれど、
好きな人はいる。こういう水鉢の製作は楽しいです。(N)





































