岡崎市 老舗石屋㈱杉田石材店のブログ
石灯篭(とうろう)庭園・神社用など石製品の製造販売

【創業190余年の老舗石屋】国内最大級の在庫展示数 石灯篭(とうろう)水鉢など庭用石製品をはじめ、石製品全般取り扱っております。本格こだわりの手作り石灯篭(とうろう)をお探しの方は実際に見比べてください。工場では職人の制作風景もご覧いただけます。~心のかよう石づくり~をめざし見る人の心が豊かになるよう心を込めて造っております。これからも技術を絶え間なく積み重ねてまいります。当ブログでは石彫刻品 記念碑 石像 モニュメント等の製作過程や設置事例をはじめ石屋の日々をお伝えしております。

カテゴリ:〇〇ができるまで > 文字彫刻

梵字とは・・・
インターネットで調べても、分かったような分からないような。

石屋で使う梵字は限られており、
詳しく梵字を知らなくても、分かったフリは出来てしまいます。

改めて、梵字を勉強しようと図書館へ行ってきました。
梵字の本の隣にあった「ナーガリー文字」の本を手に取ると
梵字と通じるものを感じましたので、一緒に借りてきました。
どうやら梵字とナーガリー文字は、文字の進化の過程で繋がっているようです。
梵字の本+α
十三層塔の塔身には、東西南北にそれぞれ
薬師・阿弥陀・釈迦・弥勒を意味する
「種子(しゅじ)」という梵字を彫刻しています。
十三層塔塔身梵字
この塔身を利用して、水鉢にしたとされるのが
四方仏水鉢です。※弊社製品は、新たに製作しております。

薬師如来(東)ベイ
梵字薬師如来(東)ベイ

阿弥陀如来(西)キリーク
梵字阿弥陀(西)キリーク

釈迦如来 (南) バク
梵字釈迦如来(南)バク

弥勒菩薩(北)ユ
梵字弥勒菩薩(北)ユ
灯篭に彫刻される梵字は、四方仏か四天王がほとんどです。
唐招提寺の火袋や
梵字唐招提寺石灯篭
談山神社の火袋には、月輪(円)の中に梵字を彫刻しています。
梵字談山神社石灯篭
五輪塔にも梵字を彫刻します。
上から、空(キャ) 風(カ) 火(ラ) 水(バ) 地(ア)
五輪塔梵字
梵字に関する本を数冊読む中で、驚いたのは書き順です。
日本語やアルファベットのように、左から右へ筆を進めません。
(進める箇所もあります。)
また、一画目となる筆を下ろす位置「命点(みょうてん)」が、
文字の中心部だったりもします。

この始める位置は、重要な意味を持ちます。
折り返したり、繋げたりする部分もあり、
完成した文字を見ただけでは、筆の運びは想像できません。

梵字にも上手い下手があるそうですが、
そもそも字の中心がわからない。。。
右にボリュームのある文字なのか、傾き具合も難しいです。

ある宗派の御住職にお話を伺うと、
梵字は難しいですよねとのお返事。
書き方や解釈が異なるんだそうです、
厳密にはニュアンスが違うかもしれません
私に分かりやすく伝えてくれていますので。(N)

石碑に文字を彫刻する様子をご紹介します。
「刻石流水」・・・掛けた情は水に流せ 受けた恩は石に刻め という意味があります。

【手彫り加工】
石に原稿を糊付けします。
正面文字彫刻 (1)
糊をしっかり乾かしたら、紙の上からノミで彫っていきます。
彫りながら文字の形を修正することもあります。
石碑正面文字彫刻 (2)
毛筆で書く時に力の入る箇所は深く彫るなど、筆運びを考慮して彫ります。
正面文字彫刻 (3)
今回は、文字の底面のノミ跡を消して、ツルっとさせていますが
あえてノミで彫った跡を残すこともあります。
線の中心を深くほり、なだらかな曲線になるように彫っています。
石碑正面文字彫刻 (4)
文字が彫れたら、紙を剥がして水洗いをし、糊や紙を落とします。

塗料を使って銀色を入れます。
石碑文字色入れ
下地を塗って、銀色塗料、トップコートと塗り重ねていきます。
石碑文字色入れ
トップコート済
石碑文字彫刻シルバーコート剤済
石碑正面文字彫刻 (2)
これで工場内での作業は完了です。
このあと、設置作業を行います。(N)




塔身(笠を支える立方体)の四方の梵字は、美しさに違いが出ます。
塔全体の美しさも重要ですが梵字も見せ場の1つとなります。
彫刻済の梵字を彫り直すことになりましたので、ご紹介します。
【輸入品の七層塔】
七層塔(中国)梵字
塔身に彫られている梵字は、種子といって
文字そのものが仏や菩薩を表し、美しい姿が求められます。

四面(東西南北)に異なる仏が彫られており、
梵字ではなく仏像が彫刻される塔も多くあります。
【修正前】月輪(円)の中はノミ仕上げ その他コダタキ仕上げ
梵字修正前 (2)
文字を修正する為に円の中をビシャンで平らに加工します。
既存のノミ仕上げと新たなノミ跡が揃わないことや
塔とのバランスを考慮してビシャン加工にしました。

【円の中に梵字を下書き】
今回は丸の中にバランスよく文字を納める必要があります。
例えば薬師如来を表すバイ(梵字)を円の中に納めるには全体を小さくするか、
字体を変えなくてはいけません。

全体を小さくしてしまうと、こじんまりとした印象になる為、
部分的に長さを短くして納まりよく調整しました。
右下の長さを短くしたりして円に納めています。
梵字彫刻 (2)
【彫刻する】
梵字に限らず文字を彫刻するときは書き順を考慮して
彫りの深さで力の入り具合を表現します。

梵字は漢字などの書き順とは異なる筆の運びをします。
上の薬師如来の種子(梵字)の1画目は、どこだと思いますか?

正解は文字の中心部がスタート地点です。

書き順
(知道出版 やさしい梵字仏 三井奝円 書 より)
梵字彫刻
「紙に書く」と「石に刻む」ことの違いは、折り返しなどで重なる部分の扱いです。

紙に同じ部分を重ねて書く箇所を石も
同様に考えて2回通り深く彫ってしまうと彫り上がった時に
不自然な段差ができてしまいます。

描き順で、後から重なる線の形が残るように彫りました。
梵字修正後 (2)
種子(しゅじ)といって仏や菩薩を文字で表したものは、
拝まれる対象となり仏像と同じ意味を持ちます。
イニシャル的な扱いではなく一尊そのものとして扱われます。

私たち石屋の場合、塔身・灯籠の火袋や五輪塔などに種子を彫ることがあります。
BlogPaint
その他暮らしの中で見かけるとすると・・・塔婆やご朱印・お守りなどにもあります。
寺院へ参拝される際に気にして探してみると見つけられるかもしれません。

梵字については、また別の機会に詳しくご紹介します。(N)
 

【新元号の令和】文字を彫刻しました。
文字彫刻令和元年五月一日
石に日にちや名前を刻む機会は生活の中で頻繁にあることではありません。私たち石屋の場合は設置した日にちや関係者の名前を石に刻むことが多くありますが、お客様一人一人にとっては意味のある特別なことです。
平成という元号のうちに石工事をして、平成と刻みたいという方、元号が決まったら新しいものを刻みたいという方、どちらのお客様もいらっしゃいます。新元号をご希望の方は4月1日の発表待ちの状態でした、さっそく一つ一つ彫刻作業が行われます。
元号が決まり話題になった「令」の文字の書き方は、最後の画を伸ばす、止めてカタカナのマにする、その他どのような書き方も彫刻可能です。ご指定がなければ、縦棒を伸ばす文字をご提案いたします。
令和元年五月一日 楷書縦書き文字
石屋の場合、神社仏閣へ奉納されれる鳥居・灯篭・狛犬や狐の台座や記念碑、墓石などの建立年月はほとんどの場合、和暦を用いています。
令和元年五月一日と彫刻したました。(道祖神の後ろ面です。)
新元号 文字彫刻令和元年五月一日新元号
令和と刻まれた石を見ても、まだ見慣れない文字の並びですが、こうして時代ごとの人々の想いが繋がって歴史になっていくのだなと感じました。刻むという行為は後世に残るもので、紙に書く・描くとは少し違う意味合いがあるように思います。新しく始まる期待や希望が石に込められたように見えます。



五輪塔に梵字を彫刻します。
岡崎産の牛岩青石で制作した五輪塔、舞台は岡崎産の吉祥石(きちじょうせき)です。どちらも
ビシャン仕上げで仕上げました。五輪塔梵字 配置原稿
5つのパーツそれぞれに一文字ずつ「梵字」を彫刻します。
全体のバランスを見て配置や文字の大きさを決めます。
空輪(たまねぎ状のパーツ)と風輪(お椀型のパーツ)の文字は小さめ五輪塔 梵字 空輪風輪
水輪(玉型のパーツ)と地輪(一番下のパーツ)は大きめになっています。
五輪塔 梵字 火輪 水輪 地輪
地輪に梵字を彫刻する様子をご紹介します。
まず石に原稿を糊付けします。
五輪塔梵字 地輪 字彫り原稿
太い部分を彫り込みます。文字の中心部を深く彫り込む【薬研彫り】です。
細い部分は道具を変えて彫り込みます。
五輪塔梵字 地輪 字彫り太い部分
完成
五輪塔 文字彫刻 梵字 地輪完成

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