塔身(笠を支える立方体)の四方の梵字は、美しさに違いが出ます。
塔全体の美しさも重要ですが梵字も見せ場の1つとなります。
彫刻済の梵字を彫り直すことになりましたので、ご紹介します。
【輸入品の七層塔】
七層塔(中国)梵字
塔身に彫られている梵字は、種子といって
文字そのものが仏や菩薩を表し、美しい姿が求められます。

四面(東西南北)に異なる仏が彫られており、
梵字ではなく仏像が彫刻される塔も多くあります。
【修正前】月輪(円)の中はノミ仕上げ その他コダタキ仕上げ
梵字修正前 (2)
文字を修正する為に円の中をビシャンで平らに加工します。
既存のノミ仕上げと新たなノミ跡が揃わないことや
塔とのバランスを考慮してビシャン加工にしました。

【円の中に梵字を下書き】
今回は丸の中にバランスよく文字を納める必要があります。
例えば薬師如来を表すバイ(梵字)を円の中に納めるには全体を小さくするか、
字体を変えなくてはいけません。

全体を小さくしてしまうと、こじんまりとした印象になる為、
部分的に長さを短くして納まりよく調整しました。
右下の長さを短くしたりして円に納めています。
梵字彫刻 (2)
【彫刻する】
梵字に限らず文字を彫刻するときは書き順を考慮して
彫りの深さで力の入り具合を表現します。

梵字は漢字などの書き順とは異なる筆の運びをします。
上の薬師如来の種子(梵字)の1画目は、どこだと思いますか?

正解は文字の中心部がスタート地点です。

書き順
(知道出版 やさしい梵字仏 三井奝円 書 より)
梵字彫刻
「紙に書く」と「石に刻む」ことの違いは、折り返しなどで重なる部分の扱いです。

紙に同じ部分を重ねて書く箇所を石も
同様に考えて2回通り深く彫ってしまうと彫り上がった時に
不自然な段差ができてしまいます。

描き順で、後から重なる線の形が残るように彫りました。
梵字修正後 (2)
種子(しゅじ)といって仏や菩薩を文字で表したものは、
拝まれる対象となり仏像と同じ意味を持ちます。
イニシャル的な扱いではなく一尊そのものとして扱われます。

私たち石屋の場合、塔身・灯籠の火袋や五輪塔などに種子を彫ることがあります。
BlogPaint
その他暮らしの中で見かけるとすると・・・塔婆やご朱印・お守りなどにもあります。
寺院へ参拝される際に気にして探してみると見つけられるかもしれません。

梵字については、また別の機会に詳しくご紹介します。(N)