岡崎市 老舗石屋㈱杉田石材店のブログ
石灯篭(とうろう)庭園・神社用など石製品の製造販売

【創業190余年の老舗石屋】国内最大級の在庫展示数 石灯篭(とうろう)水鉢など庭用石製品をはじめ、石製品全般取り扱っております。本格こだわりの手作り石灯篭(とうろう)をお探しの方は実際に見比べてください。工場では職人の制作風景もご覧いただけます。~心のかよう石づくり~をめざし見る人の心が豊かになるよう心を込めて造っております。これからも技術を絶え間なく積み重ねてまいります。当ブログでは石彫刻品 記念碑 石像 モニュメント等の製作過程や設置事例をはじめ石屋の日々をお伝えしております。

タグ:桂離宮

前回、珍しい宝珠のない灯篭として紹介した「桂雪見灯篭」
この灯籠の正面はどこでしょうか。
桂雪見灯篭
次の2枚の写真で、見え方の違いを比較してみます。
①正面から2本足が見える
桂雪見|二本足が見える向き
②正面から3本足が見える
桂雪見|正面に1本足がある向き

桂離宮の本歌を見ると、
正面に足が一本見える向きになっています。
桂雪見の正面向き|桂離宮
別角度からの写真
桂雪見の正面向き
下の写真は、真後ろから撮影したものです
4本足の灯篭なので、正面に足が1本向いていることが分かります。
桂雪見|桂離宮の石灯篭
正面中央に1本足がくるようにします。
桂雪見足の向き
通常デザインの雪見灯篭と同様に、
この面を正面にしたくなりますが・・・ ↓
桂雪見足の向き

改めて足の向きが異なる写真で、全体を比べてみます。
桂雪見灯篭
足の形が立体的に見え、足の曲線が活きます。
全体に灯篭の背筋が伸びた印象になります。

正面から2本足が見えるようにすると、足が短く見え
上部の曲線が単調で、平面的に見えるような気がします。
桂雪見|足平行
お好みなのかもしれませんが
デザインに関わった人が意図したものを、感じられる気がします。(N)










灯篭には宝珠があるのが一般的で
どの灯篭を見ても、約束事のように一番上に存在しています。
石灯篭には宝珠がある
そんな中でも珍しい、宝珠(玉)のない灯篭をご紹介します。

【桂雪見】という型で、
本歌(灯篭の原型)は京都の桂離宮にあります。
桂雪見|桂離宮の石灯篭
園林堂へ向かう道の右脇にあり
周りを眺めて歩いていると、足元を通り過ぎてしまいます。
それほどに自然と馴染んでいました。
桂雪見|桂離宮の石灯篭
(笑意軒側から撮影)


デザインする段階で、灯篭のパーツを1つ省いてしまったとすれば、
ずいぶん思い切ったデザインです。
桂雪見|桂離宮の石灯篭
桂雪見といえば、宝珠がない灯篭として知られていますが、
書籍によっては、
「本来は形の良い宝珠があったのかもしれない」と記載されているものもあります。
桂雪見|桂離宮の石灯篭
今の姿を見る限りでは、笠の中央部のふくらみ具合からも、
宝珠なしのデザインで作られているように思えます。

桂離宮で桂雪見の近くに立っている三角雪見も、宝珠のない雪見灯篭ですし
宝珠なしは、意図的にデザインされたと考えてしまいます。
三角雪見

弊社製作品の桂雪見は
現代、桂離宮で見られる宝珠のないものを模して製作しております。
桂雪見|桂離宮の石灯篭
笠を上から見ると六角形
桂雪見|雪見灯篭の笠
中央はわずかに膨らんでいます。
桂雪見|雪見灯篭の笠
桂雪見|雪見灯篭の笠
ちょっと変わった桂雪見は、かわいらしさと品位があり
玄人好みの灯篭と言えるかもしれません。(N)

 

桂離宮にある石灯籠のひとつ「松琴亭灯籠」の窓穴が、波や風を表しているかもしれないと考えました。

桂離宮の石灯籠を製作または設計した人物や、デザインの資料を以前より探していましたが、明確に書かれたものは今のところ見つけられていません。有力な資料は残っていないのか、存在しないのかもしれません。

(松琴亭の窓穴デザインについての過去の記事)

桂離宮とは
江戸時代初期、八条宮智仁親王が月をめでる別荘を作りはじめる
・息子の智忠親王まで引き継がれ、約50年をかけて完成
・京都桂川の畔にあり、桂川の水を庭園の池にひいていた
・現在は宮内庁が管理し、一般参観可能
・日本の建築と庭園の最高峰といわれている
・独自デザインの石灯籠が多数ある

源氏物語の中で、桂川の畔に光源氏がつくった別荘「桂殿」が登場します。そして、この地は月の名所とされ貴族のあこがれの地でもありました。そのモデルとなった土地に造営されたといわれるのが桂離宮です。

観月は空の月だけではなく、池やつくばいの水面に映る月も楽しんだそうです。つくばいに映る月を柄杓ですくうアイディアにも遊び心があります。
水面に映る月
また桂離宮には、「月見台」や「浮月の手水鉢」、「月見橋」、「月波楼」など月にまつわる名称や装飾品が目白押しです。月の出や位置を把握し、空も池も見えるよな建物や茶室を設けたり、月を楽しめる工夫がされていたりします。月は夜を照らす尊いものだったのでしょう。

和歌や書など文化面や、学問にも長けていた智仁親王の細部へのこだわりは情熱さえ感じます。そんな桂離宮にある石灯籠に、意味が込められていないとは考えづらいです。

では、松琴亭灯篭の火袋(火の灯る部分)の穴は何を表しているのか?三連のギザギザ型は、他の灯籠では見かけないデザインです。
松琴亭火袋の窓穴三連ギザギザ
多くの灯籠の火袋は、向かい合わせに円と三日月型の穴があります。これは月と太陽を表すといわれています。

この灯篭は池の脇に建っており、この場所が船着場になっていたとしたら、足元を照らすとともに水面や船べりを照らすための石灯籠だったと考えられます。

舟で松琴亭へ向かう時の目印となる灯りなのだから、火袋にあるギザギザの窓は、舟が作る波の形なのかも。はたまた、舟で感じる心地よい風を表しているのかもと灯籠を眺めながら考えています。当時の人たちが舟遊びをしたり、和歌や管弦を楽しんでいる雅な時間を想像していると桂離宮での観月を味わってみたくなります。

火袋のデザインなど何かご存じの方がいらしたら教えてください。(N)



桂離宮の茶室の名前にちなんだ、松琴亭(しょうきんてい)という石灯篭があります。こちらは弊社にて製作しました松琴亭灯篭です。円形の笠でシンプルな形です。
松琴亭灯篭|桂離宮にある石灯篭の種類
よく見ると、火袋の窓は珍しい形をしています。
松琴亭灯篭|桂離宮にある石灯篭の種類
お客様より、この形はなんでしょうと質問がありました。過去にも文献等を調べてみましたが、有力な情報は得られませんでした。ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ情報をお寄せください。

火袋の両脇にある窓のデザインについて
<三連のギザギザ>正方形を組み合わせた幾何学模様のようなデザイン
松琴亭火袋の窓穴三連ギザギザ
一般的な灯篭に見られる窓は四角・円・三日月以外の形が多く、松琴亭は珍しい窓のデザインです。松琴亭にのみ用いられている形なのか、私たちが今までに製作した灯篭の中には似た形の窓デザインはありません。神社仏閣用の灯篭ですと仏教的な意味合いのある蓮の花弁を模った窓もありますが、それもまた珍しいデザインです。
対面する窓は<三角の窓>です。
松琴亭火袋の窓穴三角
単純な形に思えますが、三角形の窓も非常に珍しらしいデザインです。しかし、桂離宮に限っては例外で、水蛍灯篭などにも三角を並べたり組み合わせたデザインの窓があります。これは庭全体の調和や視線の工夫なのかもしれません。
水蛍の窓 三角形を下向きに並べています。
水蛍灯篭|桂離宮にある石灯篭の種類
反対側の窓は下の三角を上向きに変えています。簡単なことでデザインの変化が生まれます。
水蛍灯篭|桂離宮にある石灯篭の種類
他にも八角形の窓を持つ三光灯篭
三光灯篭|桂離宮
四角の角を大きく落として八角形にしています。
三光灯篭|桂離宮
桂離宮には多くの活け込み(柱を地中に埋め込む)灯篭があります。これらは庭の景色としての役割よりも、足元を照らす照明としての役割を重視されていたと言われています。また、水辺にある灯篭には、水面に映る光も意識して製作配置されたのではないでしょうか。独創的な灯篭がある訳は、数多くあるがゆえ、来客を飽きさせないおもてなしの意味も込め、デザインを工夫していると考えられます。また、夜の景色を意識して、暗くなっても灯籠の違いが楽しめるよう窓の形にも変化を付けたのかもしれません。桂離宮の建物に関する書籍は多くありますが、石灯篭に関する情報は少なく、これらは推測の域です。
当時とは桂川の水位も変わり、桂離宮の池の水位も変わっているそうです。それら環境の変化がある中でも当時の景色を可能な限り、維持し修繕管理されている桂離宮では、庭づくりに関わった人々の知識や美意識を感じることができます。船遊びや月夜会など、雅な景色を思い浮かべて庭を巡るのも楽しいです。灯篭に火を灯した桂離宮を見てみたいものです。(N)





織部灯篭は、春日灯篭・雪見灯篭に次ぐ
有名な灯籠のひとつです。
織部灯籠|製造販売
茶庭に興味のある方なら、名前をご存知の方も多くいらっしゃいます。
織部灯篭が、なぜ多くのお庭で親しまれているのか考えてみました。

◎流通されている数が多い
国産品・海外製合わせても活込灯篭の中では断トツで目にする機会が多い。
流通数も多く入手しやすい。
◎汎用性が高い
活込(いけこみ)といって柱を地中に埋める仕様です。
柱の埋め込みにより高さを調整できます。
狭い場所でも楽しむことが出来ます。
◎照明として実用性
火袋の開口が4方向にあり照明として有効
織部灯籠火袋月
織部灯籠火袋日
◎庭に馴染みやすい
主張しすぎず日本の庭や日本人の感覚に合う。
なぜか海外のお客様には織部灯籠はあまり選ばれません。
◎定番・有名
安心感 無難 織部灯篭以外の活込灯篭があまり知られていません。
◎古田織部の存在
活込灯篭は安土桃山時代の茶庭の露地から生まれた灯籠です。
名前の通り、古田織部が考案したとされ茶庭文化で広まりました。
◎デザイン
正面・斜めなど見る角度を変えても安定して見栄えがします。
お庭の正面以外の場所でも楽しめ、通路脇にも置きやすい。
少し斜めの角度
織部灯籠 (少し斜め)
斜め45度
織部灯籠 (斜め45度)
側面
織部灯籠 (横)
また見下ろした視線からの姿も楽しめる。
織部灯籠見下ろし|製造販売
【織部灯篭がたくさんあるお庭】
京都の桂離宮には24基の灯籠のうち織部灯篭が7基もあります。
桂離宮の活込灯篭は景観の他にも照明としての役割が大きくあります。
夜道の足元の安全と水上の船の目印として、多くの活込灯篭が設置されているようです。中には足元の灯りとして、柱が見えないくらい土に深く埋めている織部灯篭もあります。反対に柱が極端に長い灯篭もあり、場所に応じて高さを調整できる活込灯篭は、高低差のある回遊式庭園の照明に重宝されたようです。
織部灯籠|桂離宮
(桂離宮↑)笠が跳ね上がったデザイン
織部灯籠|修学院離宮
(修学院離宮↑)

【織部灯篭を選ばない方】
有名が故えに、人と同じでは面白くないと、織部以外の灯籠を求める方もいらっしゃいます。また既に織部はあるから次はまったく異なるデザインを探しているという方。織部灯篭を探していたが、他の灯篭を見て「こんなに種類があると思わなかった」と別のデザインの燈籠を選ばれることもあります。

お客様より「織部灯篭って何がいいの?」というご質問がありましたので、改めて織部灯篭を鑑賞し考えてみました。お好みの灯籠を見つけるのにお役立てください。(N)


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