岡崎市 老舗石屋㈱杉田石材店のブログ
石灯篭(とうろう)庭園・神社用など石製品の製造販売

【創業190余年の老舗石屋】国内最大級の在庫展示数 石灯篭(とうろう)水鉢など庭用石製品をはじめ、石製品全般取り扱っております。本格こだわりの手作り石灯篭(とうろう)をお探しの方は実際に見比べてください。工場では職人の制作風景もご覧いただけます。~心のかよう石づくり~をめざし見る人の心が豊かになるよう心を込めて造っております。これからも技術を絶え間なく積み重ねてまいります。当ブログでは石彫刻品 記念碑 石像 モニュメント等の製作過程や設置事例をはじめ石屋の日々をお伝えしております。

タグ:欠け補修

この冬、石臼の磨き直しを3件しました。
3件に共通するのは、「石臼をもらった」という点。
前の持ち主から引き継いで、長く使えるのも石の魅力です。
石を大切にしてもらえると嬉しくなります。

3件目にお預かりした石臼は、
玖老勢石(くろぜいし)
愛知県新城市で採石されていた砂岩です。
直径48㎝ 高さ35㎝ ちょっと背が高い石臼です。
石臼|新城市玖老勢石(くろぜいし)
この石にピンときたのは、
以前、修復した三猿に使用されていた石だからです。
お客様に、その話をすると、
今日もこのお寺の前を通ってここまできました!と、
なんだかご縁を感じます。
三猿像(玖老勢石)|新城市庚申寺
みかげ石の産地である岡崎では、
玖老勢石の臼を目にする機会がほとんどありません。

詳しくは、
新城市にある「鳳来寺山自然科学博物館」がお勧めです。
新城は中央構造線の露頭も見られ、石好きには面白いスポットです。
利修仙人の石像も探してみてください。
お土産に石も買えます。
鳳来寺山自然科学博物館
一般的に砂岩は、みかげ石よりも柔らかく、
加工がしやすいことから、産地である新城では
広く用いられていたと推測されます。

砂岩の耐久性を考慮して、底が分厚い形の臼なのかもしれません。
石臼のクリーニングと磨き直し|新城市玖老勢石(くろぜいし)
しかし、この石を磨くとどうなるのか、
やってみないと分からない部分もあります。

側面は緑色の苔もついています。
玖老勢石餅臼のクリーニング
石の表面は、かさぶたのように薄く剥がれています。
柔らかい石の場合、年数が経過すると
このように表面が、剥がれていくことがあります。
玖老勢石餅臼のクリーニング
石の表面が剥がれてしまうと、
手や服に石の粉が付いて、お餅にも入る可能性があります。
高圧洗浄で、苔とともに風化した表面の石をしっかり落とします。
玖老勢石餅臼のクリーニング
【洗浄後】
剥がれかけていた石が落ちて、
硬い石の表面になりました。
玖老勢石餅臼のクリーニング
玖老勢石餅臼のクリーニング
水穴の内側も高圧洗浄します。
玖老勢石餅臼のクリーニング
内側も石の表面が、ポロポロと剥がれています。
玖老勢石餅臼のクリーニング
【洗浄後】
一皮むけた硬い石肌がでてきました。
玖老勢石餅臼のクリーニング
表面の石がめくれた箇所は、グレーの石肌になっています。
玖老勢石餅臼のクリーニング
内側の石を削ります。
石が剥がれて一番低くなった位置まで石を削ります。
玖老勢石餅臼の磨き直し
縁にあった欠け
玖老勢石餅臼の欠け補修
角を丸めることで、欠けはなくなります。

みかげ石に比べると、
きめの細かい粒が集まった石です。
玖老勢石餅臼の欠け補修
磨き加工をしていきます。
玖老勢石餅臼の磨き直し
水を使いながら、磨いていきます。
玖老勢石餅臼の磨き直し
玖老勢石は砂岩で、
磨いても艶が出ないことは予測ができました。

ただ、内側を磨いても磨いても、なんだかザラついています。
みかげ石だと400-500番という砥石で仕上げて完成です、
今回の砂岩は、さらに細かな800番の砥石も当てました。
それでも石の表面を撫でると、ざらつきます。
玖老勢石餅臼の磨き直し
んー、このままお渡しできない。
もっと細かな仕上げにもできるけど、
これ以上磨くと、お餅が滑って餅つきできない。

柔らかいスポンジで洗って、水で流して、
水分を布で拭きとって、エアーを吹きかけ細かな石の粒も飛ばします。
入念にしてみても、指で撫でるとザラつきます。
繰り返し撫でていくと、スルスルしてくる。
けれども、やっぱりザラついている。
玖老勢石餅臼の磨き直し
はあ困ったな。(N)

つづき↓


~関連記事~

◆側面のサビ落とし↓

◆磨きの詳しい工程↓

◆欠けの補修と内側の磨き直し↓





狐の石像を修復しています。
頭部のほかに、しっぽ、水板(台座)の角、子どもの背中を直します。

「しっぽ」の補修
台座を包むように、正面側に巻き込んだ尻尾は、
この狐の魅力的な部分でもあります。
狐の補修しっぽ
補修箇所を粘土で製作
狐の補修(しっぽ)
粘土から型を取ります。
狐の補修(しっぽ)
既存の石に切り込みを入れて、ボンドの食いつきをよくします。
ボンドを付ける前に、接着剤を石に浸透させて表面を強化させます。
狐の補修(しっぽ)
ボンドを付けます。
断面に木の葉型の金具が納まらないため、
五円玉を、繋ぎの役割で入れています。狐の補修(しっぽ)
石を付け足して、接着します。
狐の補修(しっぽ)
隙間には、石の粉と接着剤を詰めます。
狐の補修(しっぽ)
既存のしっぽに合わせて石を彫刻します。
狐の補修(しっぽ)
周りの色に合わせて、着色します。
完了(着色後)補修箇所拡大 (4)

同時進行で「水板」という、
狐が座っている、座の欠けも補修します。
狐の補修台座(水板の欠け)
既存の石に切り込みを入れます。
狐の補修台座(水板の欠け)
新たに製作した角
狐の補修台座(水板の欠け)
内側は切り込みの溝を入れています。
狐の補修台座(水板の欠け)
角に合わせると、こんな感じになります。
この段階では、付け足す石が既存部の凹凸に合うように加工していますが
アウトラインは、完成時よりも大きくなっています。
狐の補修台座(水板の欠け)
実際に、ボンドを付けて接着していきます。
狐の補修台座(水板の欠け)
接着します。
狐の補修台座(水板の欠け)
固まったら、既存の石に合わせて、付け足した石を加工します。
狐の補修台座(水板の欠け)
着色して仕上げます。
完了(着色後)補修箇所拡大 (7)

石が剥がれていた子どもの背中
狐の補修子どもの背中
狐の補修子どもの背中
ヒビを埋め終わったところ狐の補修(子ども)
石を削った粉を背中に盛っていきます。
狐の補修子どもの背中
肉付けしながらコーティングしています。
狐の補修子どもの背中
余分な粉を払います。
狐の補修子どもの背中
補修後に着色します。
子きつねは、歴史を感じさせる風化でもあったので、
背中はきれいに直し過ぎず、耳の小さな欠けもそのままに趣を残しています。
完了(着色後)補修箇所拡大 (5)
お預かりした時点では、補修後の経過が心配なため
子どもの背中は、補修をお断りしていました。

補修と並行して、仕上げ用のコーティング剤を試していたところ、
保護が見込めると判断して、子どもの背中も補修することにしました。

また、全体の補修作業が進むにつれて、
背中を何とかしてあげたい気持ちも強くなります。

経過報告で「子狐も直します」とお伝えすると、
治してくださること、大変嬉しく思います」とお返事が届きました。
狐に対する優しい思いを感じ、こちらも優しい気持ちになりました。(N)

 



 



【狛犬の修理】

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